犬儒のブログ

当事者のアマチュア文芸雑誌の編集顧問を務めています。『ノルウェイの森』の直子と同病の単純型統合失調症です。

当誌の同人のfool's kneelさんのご紹介

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 ↑蘭の写真ばかりでしたが、たまに月下美人を。お袋が咲かせました。

 

 

 fool's kneelさんとは純文学同人誌、創刊前くらいからのお付き合いになります。

 埼玉県在住の不惑になった方なんですが、13年前から掲示板に書き込みしてくださっていたです。

 今、生活保護になっていますが、エンジニアの方です。詩作と散文をなさいます。

 詩が、硬質でかっこいいんですよ。僕も元エンジニアですが、彼のような作品は書けません。

 主な作品ですが、

 

シーン集『僕達だけの夜明け前の新世界』(まあ、散文詩集)

南十字星流星群』(中編小説)

 

 などです。小説は入院体験記とかですが、3人称にしてノベルにしておられます。単純な入院体験記とかは当誌にはないです。

 『南十字星流星群を』自費出版で有名な文芸社に送ったところ、9%の「共同出版」の枠に入ったんですが、210万円がなかったので断念されたよう。

 なお、拙著『落日』(中編小説)もこの9%の枠に入っています。

 ええと、僕が好きな詩で、fool's kneelさんの上記の二つの作品に登場する詩をご紹介します。なかなか書けないですよ。

 

 

 

 

failure

 

夕方の県道 かすれたセンターライン先の交差点

 

製鋼所の溶けた鐵が流れ込むような

 

もう時代は終わったのだと告げるような

 

夕暮れの空

 

反対側は、白月と、しめった深い森のアジサイの葉の下の暗がりのような

 

群青の空と白い星

 

塗装の剥げたガードレールのリベットやボルトはさびて

 

タバコが押しつけられて消された跡がある

 

安っぽい埃まみれの白い塗装とタバコの灰

 

「俺はまたどこかへ行くぜ」と伝言が書きなぐられてるようだ

 

人々が許される時刻

 

許された人々が交差点を横切ってゆく

 

暗さを増したアスファルトの灰色に

 

煙る白のライン

 

唾を吐かれたりもしない

 

戦いは終わりいまはゆるされてるから 

 

街路灯がつく

 

空は世界の始まりでもない終わりでもない

 

世界は変わったのだ 許されたのだと告げるような 夕暮れの青

 

ここは宇宙に所在していると宣告する

 

原生林が生い茂り、水中から弱き生物たちが逃げ出し進化を遂げた時代の

 

夜明けのような夕暮れの群青

 

青い闇の中で、人工の星のような街灯が

 

街や道を照らす

 

僕たちは失敗したかもしれないが

 

傷ついたかもしれないが

 

夜空を見上げまだ深く息を吸える

 

 

僕は、この街の道路の路側帯のラインのように

 

汚れ

 

佇み

 

誰の目にも止まらず

 

摩耗し

 

世界のそこでしっかりと自分の進む方向を示している

 

新しい時代が近づいてる

 

 

犬儒のHP〜本格派「当事者」雑誌

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