純文学ショートショート?「帰りたい」(オチてなかったら御代はいらねえぜ)
三連休の中日ですね。明日また長いの紹介しますけど、今日は休養で短いの紹介します。
また『犬儒の本』より。
ショートショート『帰りたい』 (札幌からの報道による)
犬儒
がらがらがら。(初老の男性が飲み屋に入ってくる。)
「こんばんはー。今日は寒いねー。やーまいった」
「あら、お初ですか。この店ひいきにしてくださいね」
「あいよ。とりあえず、あつかん一つ。や、銚子じゃなくてコップでいいや」
「景気がいいですね。お通しはサービスね」
「いやはや、夕食もまだでねー。食うのも食うよ、えーと」
(間)
「カラオケもあるんだねー。いいねー」
(間)
「やー楽しかった。ちょっとお茶が飲みたくなってきたな」
「あら、限界ですか」
「やー、そうでもないんだけどね、うーん、こんなもんかな」
「ですか。えーと、お会計4370円です。」
「いや、その」
「はい?」
「お金がないんだ」
「お財布お忘れですか?」
「いやその、手持ちがなくて」
「え……。110番しますよ」
「うん」
「……」
「……」
「……刑務所に帰りたいのね」
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