山本譲司先生への手紙（２０１３／１）（病棟の知的障害者問題）
山本譲司先生、初めまして。
お忙しいところ、大変恐縮です。北海道在住の自由業で小竹犬儒（本名：太）という者です。
比較的最近、先生のご著書の『累犯障害者』を読ませていただきました。感銘を受けたといいますか、先生の問題提起が深刻だなと感じました。
私は精神疾患で精神科病棟に入院経験がありますが、確かにそこにも知的障害者の方おられました。
知的障害者施設から調子を崩して一時的に入院していた例もありますが、あとどうもはっきりしない例もある。
後年、ウィキペディアで「知的障害」「知能指数」など調べますと、日本国内で健康でもＩＱ７０ない人が２８０万人程いるとのことでしたが、何らかの病気などで知能が低く生まれた人などを中心に６０万人程度しか知的障害の認定を受けていないことを知りました。
ということは未認定の知的障害者が国内で２５０万人程度いるということになる。
ＩＱ７０未満だけでは知的障害とは必ずしも言えないという話もあるようですが、どうも大量に「性格の損なＩＱ７０未満の人」もいるようである。これは早く福祉とつながるべきだったと思います。
誇大的な事を言ったり、無理に高価なスポーツカーを買ったりとか、そういうパターンで「暴れたので入院させられた」等、結局知的障害ではなくて精神障害の方で認定されて所得補償等されているようなケースも見聞しました。
知的障害福祉がもっと進んでいれば、純粋に精神障害者の人にとっても幸福だったろうと感じました。
全日本手をつなぐ育成会にもメールしたのですが、やはり山本先生にもご連絡いたしたく書いております。
２０００年１月からホームページで文学に特化して活動し、改装後「心をめぐる純文学同人誌」ということでホームページを運営しておりますが、ご多忙の所大変恐縮ですが、創作ですが、社会派小説の中編２作品だけでもお読みいただけませんでしょうか。
http://homepage1.nifty.com/kenju/kikou/rakujitsu.htm
『落日』犬儒～２００４年、知的障害者の作業所に勤務する社会福祉士の主人公の所にボランティア志願のヒロインがやってくる。しとやかで好感のもてる彼女は実は緊張型統合失調症だった。
http://homepage1.nifty.com/kenju/kikou/akatsuki.htm
『暁』犬儒～１９９５年頃、東京で疲れて郷里の精神科病棟で療養する主人公の前の席に混迷した様子の美少女が座り、憔悴したような懐かしげな眼差しで主人公を見つめる。次の日もその次の日も二人は恋人たちのように見つめ合う。
ご多忙の所大変恐縮です。なお『落日』で受刑者の２２％が云々というデータ引用させていただきました。大変ありがとうございます。
補足ですが発達障害者の事なのですが、障害者白書の１０年前のデータで、
http://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/h23hakusho/zenbun/zuhyo/zuhyo1_16.html
図表1-16 障害発生時の年齢階級
の「統合失調症 １０歳未満発病１４．９％」というデータがありますが、これは発達障害の概念が普及する１９９０年代以前くらいに、無為自閉、感情鈍磨などの症状から、発達障害のうち自閉症児がある種の誤診をされて統合失調症にカウントされた結果で、今さら福祉を切れないということで不作為に「誤診」を続けたことによるそうで、一昨年から発達障害でも障害年金を受給できるようになりましたので、統計が変わってくるかもしれません。
精神障害に関してですが、「集団ストーカー」「思考盗聴」「電磁波犯罪」「サトラレ」等検索しますと、未治療の統合失調症の方のブログに突当たります。つまり、統合失調症の認定はファジーなカウントになっているということになります。
診断名は必ずしも分かりませんが、あるいは統合失調症ということになっていても実のところ発達障害、知的障害、パーソナリティ障害の人なども入院しておられて、欧米中国の人口比５～１０倍の三十数万床という途方もない病床数になっているのが実態かもしれません。
国家予算等足りず、公立病院などでは患者一人当たりに３分程度しか診察時間を取れず、入院しても回診が週１０分無かったりと、事実関係すら把握していない状態で診断処方、入院処置が行われているような事もあろうかとも思います。
かくいう私もふた昔ほど前ですが、中卒の農民の父が診察室に付いてきて「えっへっへー、どうせこいつなんか」などと医師に紹介していたところ、農家出身の頭の悪い青年が工場で問題を起こしたのだな、誇大的な事を言っている、などと誤解されて入院になっていた可能性があり、保護権者の意向で人権侵害など行われているのが実情でした。
長文になってたいへん失礼しましたが、ご意見・ご感想などありましたらご返事などいただけますとまことに幸いです。精神科入院病棟の様子などのご質問がありましたら、分かることはお伝えいたします。
末筆ながら先生の今後のご活躍とご多幸を祈らせていただきます。
失礼いたしました。
