犬儒のブログ

当事者のアマチュア文芸雑誌の編集顧問を務めています。『ノルウェイの森』の直子と同病の単純型統合失調症です。

ウェブ上の純文学同人誌『本格派「当事者」雑誌』の「ご案内」(再掲)

ご案内

 少年の頃、あえて文学に関連するような進路は考えなかったのですが、実の所、日本なりの中心的文壇に近似したテーマなどを自分自身の体験の中から持てなかったということも大きかったでしょうか。
 大学なりで自分自身の人生、あるいは生活が少し動き出していった頃、福永武彦の『死の島』(1971)に登場する編集者という存在にやや親近感を感じたようなことがありました。これはかなり後になってから、僕のアマチュア活動のある種の理想像として脳裏にとどめられたかもしれません。
 三十代の頃、パソコン通信が興隆していましたが、ニフティーサーブに参加していたのですが、この後のインターネットでのホームページ開設の頃まで若干引き継がれた知人がおられました。
 「掲示板選集」などにも収めた雑多なエッセイ、というよりは「書き込み」のほか、まとまった文芸評論を三つ執筆させていただきましたが、能力の限界による行き詰まりの頃、掲示板のご常連の方にご寄稿をお願いしようという発想が浮かび、2003年6月1日に高速増殖炉もんじゅさんの「つつじ」(エッセイ)をまず収録させていただきました。
 おおよそは「掲示板選集」のゲスト版といった発想ではありました。
 高速増殖炉もんじゅさんは兵庫県在住の男性の方です。
 続いて同月26日にfool's kneelさん(当時オーさん)の「小室哲哉論」(音楽評論)を掲載させていただきました。fool's kneelさんは埼玉県在住の男性の方です。
 その後、同年11月のfool's kneelさんの書き込みが記念的なものだったので、収録をお願いさせていただきました。(エッセイ)
 同月、立ち寄られた時の旅人さんに掲示板に詩をいただけたのですが、文芸作品であるため、お願いして11月30日に収録させていただきました。時の旅人さんは謎の方です。
 この後やや大きな話になりますが、ご自身の個人誌のようなホームページを運営しておられた由名さんがご多忙のため閉鎖なさったのですが、執筆された中編小説が文学賞落選とはいえすばらしかったので、こちらでの継続した発表をお願いしたところ、快く承諾してくださったため、2005年5月2日に『落剥』(中編小説)をまず収録させていただきました。
 この際、掲示板で出版記念パーティーまでやっていたのですが、由名さんはご覧になっていなかったというおちがついておりました。
 由名さんは京都府在住の女性の方です。
 この後、ホームページを雑誌にしようという着想があり、ホームページのサブタイトルを変更したわけですが、エネルギー不足といいますか、私が忙しいわけもないのですが、すぐには雑誌形式へのリニューアルが出来ませんでした。
 同年5月27日に、○○●さんがご自身のホームページで発表しておられた『お化け』(掌編小説)をこちらでの重複収録させていただきました。○○●さんは北海道在住の女性の方です。
 2005年10月7日に創刊したわけですが、由名さんとの取り決めで、『落剥』の次は二作品同時再発表しようということで、こちらで順番など決めさせていただきまして、『イエスタデイ』『離脱』の順にしました。(中編小説)
 時の旅人さんが創刊日に訪れて詩をくださったのが「新しい風が」になっています。
 ひまわりさんに評論といいますか、「『落剥』を読ませていただいて」をお願いしました。ひまわりさんは静岡県在住の女性の方です。
 「第一期」のトリにふさわしいと思われる作品を書いておられた秋涼いちるさんをインターネットアマチュア文学チャートから一本釣りさせていただきまして、小説でのデビュー作になる『ある男の一日』(掌編小説)をご自身のホームページとの重複収録をお願いしました。秋涼いちるさんはミステリアスな青年です。

 この後、3ヶ月に一作品追加収録するという目標で、非常にゆっくりした文学雑誌ですが、進めましたが、2006年1月にfool's kneelさんの散文詩的な新ジャンルの「シーン集『僕達だけの夜明け前の新世界』」収録させていただきました。
 4月に編集者作品ですが、『犬儒の本』(ショートショート集)収録しました。椎名林檎さんの歌詞から発想を得た作品もあり、大変感謝しております。私は北海道在住の男性です。
 10月に、かねてからの予定で、由名さんの残りの作品は年に一度10月に再発表、追加するということで、『興』(中編小説)を収録させていただきました。
 2007年4月にhiro_pen2001さんの音楽作品2曲を収録させていただきました。hiro_pen2001さんは北海道在住の男性の方です。
 2007年10月7日に発刊以来の最後の予定として、由名さんの五つ目の中編小説『脚』を掲載いたしました。
 2008年1月に、私こと犬儒が2週間ほどで書き上げた中編小説『落日』を掲載させていただきました。ドストエフスキーの『白痴』に模範を取った四角関係の物語ですが、福永武彦の『死の島』などからも構成を援用しました。舞台は2004年ですが、これは『死の島』の舞台の昭和29年から50年後であり、ジェームス・ジョイスの『ユリシーズ』から100年後ということになります。執筆前は自分でもあれほどラブシーンを書くとは思いませんでした。私見ですが、緊張型統合失調症にはある種の美しさが兼ね備えられている場合があると思っています。2011年8月に最終推敲させていただきました。一言で表現すると福永武彦へのオマージュです。
 2008年4月に掲示板でもご活躍くださっているポーランドワルシャワ市在住、北海道出身の男性の谷口水夜さんの詩集『ワルシャワより』を収録させていただきました。この雑誌も国際的規模になり、大変感謝しております。
 2008年7月にfool's kneelさんが万全を期してお書きになった自伝的小説『南十字星流星群』を掲載させていただきました。詩の部分など安易に書けなかった熟成があったろうかと思います。
 2008年9月にまた編集者作品ですが、短編小説『暁』(犬儒)を収録させていただきました。時制を現在形にしてやや実験しました。地方など見聞して日本の精神科医療への最新鋭の批評も込めました。社会派恋愛小説のシリーズのようになりました。なお、かなり改稿して2010年8月に再発表させていただきました。
 2008年10月に谷口水夜様の短歌集『ゾバッチメ』(ポーランド語「見ててごらん」の意)を収録させいていただきました。日本の定型詩短歌の形式が、海外の情景の中でも日本人にとって意味のある輝きを放っておりました。谷口様の文学的感性は海外でも通じるはずだと確信いたしております。今後ともご活躍を期待しております。なお、2010年1月、エスペラント語訳を付記して再発表いたしました。
 同じく10月に短編小説『空の下で』(犬儒)を収録しました。自分自身の留年の体験と随分違う話になっていますが、まあ、理想でしょうか。恋と自己発見の物語です。My Little Loverの同名の曲(小林武史詞曲)にインスパイアされました。感謝いたします。
 2009年7月7日に愛知県の男性の華山太さんの書き下ろしの詩集『魔の祭典』を収録させていただきました。青春というかけがえのない時期を過ごしておられる若い方に作品をお寄せいただき感謝いたします。
 2010年4月7日にポーランド在住の谷口水夜さんの第二歌集、『Gutas akvo』を収録させていただきました。エスペラント語で「水が滴る」という意味です。知性が海外在住を可能にしていると思うのですが、日常で、火花が飛び交う感性を短歌にまとめてくださったのだと思います。価値の高いものだと思います。
 2011年1月29日、村上春樹さん原作の映画『ノルウェイの森』公開に合わせてといいますか、ポーランドの谷口水夜さんに小説『ノルウェイの森』の評論をお寄せいただきましたの掲載させていただきました(上巻分)。人生経験が足りなくて私には切り込めない作品でした。ありがとうございました。後日下巻分もいただけました。大変感謝しております。
 2011年4月7日、fool's kneelさんのバレンタインデイにまつわるショートエッセイを掲載させていただきました。家族愛ですとかうらやましいです。
 2012年6月17日、詩一編だけですが、fool's kneelさんの高校時代の思い出を書いた「太陽の下で」を掲載させていただきました。皆様もお気軽に投稿くだされば。
 2013年3月7日、京都府在住の女性のひらこさんの短編小説『ロココ』を収録させいていただきました。夏目漱石の有名な作品へのオマージュとなっており、女性の立場から名作の真価を問い直す問題作になっていようかと思いました。新しい同人の方加わってくださり雑誌も勢いを取り戻せるかもしれません。今後のご活躍も期待させていただきたいです。たいへんありがとうございました。
 同年4月7日にたて続き新たに書き下ろし作品を掲載できました。谷口水夜さんの別ペンネームで鬼武彦さんの村上春樹のベストセラー『1Q84』論、まずブック1の上巻分いただけました。「主観」ですとか、興味深いテーマなども掘り下げられていると考えられます。この『1Q84』論の連載は現在続行中です。
  2013年9月7日に兵庫県在住の男性の山雨乃兎さんの文学賞に応募するなど書きためた3作、中編『癈人つくりて…』、長編『あいつのおかげで』、同じく長編『キャバレー・ウエスト・ムーン』を3作同時収録させていただきました。エンターテイメント文学にも近いですが、山雨さんの生活空間とか日常意識が、そういうジャンルを求めたという事で、大変真摯な文学だと思います。山雨さんの今後の文学賞当選やご活躍を祈りたいと思います。
  2014年、2月7日、鬼武彦さん(谷口水夜さん)の第三歌集『つれづれに』を収録させていただきました。片仮名の固有名詞が出てくる大変エキゾチックな短歌になっていると思います。水夜さんの異国でのご成功を祈るばかりです。


 皆様大変ありがとうございます。

 なお、fool's kneelさんの『南十字星流星群』と拙作『落日』は、費用がないため出版を断念しておりますが、文芸社共同出版の9%の枠に入っております。読者の方にもよるかと思いますが、切実な現代のサナトリウム文学になっているかもしれません。
 今後とも、当誌にご寄稿くださる「当事者」の方を広く日本全国などから求めたいと考えております。
 是非皆様、よろしくお願いいたします。

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