コメントへのお答え(小説『落日』)
しじみさん、
中編3作を発表する前に、ショートショートを9篇書きまして、『犬儒の本』に収めましたが、作者だけが結末を知っている中、計算して「落とす」事の難しさなど痛感しました。
長めのものでも、やはり難しく、登場人物は、モデルが全然いないわけではないのですが、作者が作り上げた登場人物で、それに各種のキャラクターを付けて構成していくのとか、相当の想像力/創造力が必要かと思います。
めんどくさいから、シナリオみたいにして、台詞を喋るブラックボックスみたいな感じで演出家が考えてくれたらとか、そんなことを考えたりします。
まあ、小説ですからそういうわけにはいかないのでしょうけど。
主人公がなぜもてるかですが、H大、まあ北大出身者は道内ではかなりの信用はあります。僕は田舎の高校出身なのですが、生徒の100人に一人くらいしか北大以上の大学には行けません。進学校等では目立たないかもしれませんが。これだけでも十分もてます。それで長身で親切そうな感じです。
槇子は従順で控えめな感じですね。寡黙な中での彼女の美を描きたかったような気はします。プロポーズのシーンは圧巻かと思います。
鮎子はまあ、自分で自分の道を切り開いていきます。医師と北大卒はそんなに学力の違いなどもありません。恋愛の対象外になることもそんなにはないです。
主人公はまあ、人柄の良さと誠実さがあります。
僕は昔の医学書とか、知的障害者を精神分裂病だと誤認して書いてあったこともあると思っているのですが、そのあたり明確にしてほしい、というのも『落日』を書いた意図でした。作中に書いた通りで、全国で300万人以上にも及ぶ知的障害該当者のうち、50万人くらしか療育手帳を持っていません。普段会う人の20人に一人はIQ75ありません。
このうち、「性格の損な人」が精神科に流れてくると思います。
日本の精神医学で、その辺の区別をちゃんとしてほしいという問題提起はしたつもりです。
「谷川さん」と槇子は同じ病棟に居合わせたくらいの可能性もありますが、これを対照的に提示したかったです。
実のところ、知的障害者は健常者と区別がつかないくらいでもあります。元衆議院議員で服役した山本譲司さんのレポートの引用でしたが、知的障害者問題に関しても問題提起しました。不幸はそこにもあります。
一言で、『落日』の意図を述べるとしたら、恋情というか、槇子の美しさを描きたかったです。これにより統合失調症患者への偏見が軽減されると思いました。
あまりお答えになっていなかったかもしれませんが、上記のような感じです。
また当誌の他作品などもよろしくお願いします。
15位でちょっと落ちてきました。よろしくお願いします。