犬儒のブログ

当事者のアマチュア文芸雑誌の編集顧問を務めています。『ノルウェイの森』の直子と同病の単純型統合失調症です。

狂気の精神科医療(25年ほど前)

 入院したら一番にサディストの看護士に会ったが「えっへっへー、あんたが会社でどんなに偉い立場だったとしても、ここではここの決まりに従ってもらうぜ」とか言っていた。
 二十代後半の社会人が洗濯してたら、準看のおばちゃんが「偉いわね」とか言っていた。
 ちらっと政治の話したら「宣伝カーが来た」とか言ってる看護士がいた。
 ちょっと景気のいい話をしたら、「じゃあなんでプーなのよ」とか言ってる看護士もいた。
 腐っている。
 狂気の精神科医療。

 親父はあとで、「怠けていたから懲罰で入院させた」と言っていた。

 

 

(『暁』犬儒、本格派「当事者」雑誌、2010、より)

 

「そうですか。ありがとうございました」
 診察室を去ってケースワーカーと面談する。そのケースワーカーは以前「三枝(さえぐさ)君のような人には障害者年金はあたらないよ」などと言っていた。だいたい患者を君呼びするのもなんだが、ある看護士はこちらの話をすると「じゃあ、なんでプーなのよ」とか言っていた。入院患者のほとんどにはまともな職歴はない。
 病院全体が馬鹿田舎者を扱うようにシフトしている。農家出身のある若者は「暴れたので入院させられた」と言っていた。親曰く「やっぱり駄目だったか」てなところだろうか。困ったことに初診のT医師にはそういった例と僕を区別できるデータがなかったのだろう。実の所ほとんどまともな問診はなかった。どちらにお住まいですかと聞かれたら、「埼玉県」とか答えたんだが、親父が全部取り仕切ってしまった。当初親父に「休職した」と言ったら、「首にされた」と怒鳴っていたのだった。
 それにしても、病理が本で読んだ都会の例と違うイメージがある。田舎では高校中退で大検を受けて進学するもなどほとんど居ない。ひきこもりだか潜在的な知的障害だかよくわからない。病気ではなくても家庭内暴力などでも民法八二二条の教護院の代わりに精神科が利用される。極端に怠惰なケースの若い入院患者などもいた。
 市内の推定数百十五人の精神分裂病患者と発病の運命にある八十名が一生で一年間だけ入院するのなら、病床数は三床でいいはずだ。それが五十床以上くらいもある。生命保険で黒字になるような人も多数入院させていたのかもしれない。
 本当に病気の人は、小さな会社などに転職していてうまくやっているかもしれないなと思う。
 都会の壁は厚いというか、家族の病理だな、とふと思う。
 それにしても、と僕は思う。精神分裂病の人に所得保障するのではなく、所得保障したほうがいい人に精神分裂病という診断をするのかもしれない。ただ、医者はそうは公言しないだろうなと思う。

(以上、転載)

 

 12位です。自傷他害の恐れもなく、幻覚も妄想もありませんでした。

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