犬儒のブログ

当事者のアマチュア文芸雑誌の編集顧問を務めています。『ノルウェイの森』の直子と同病の単純型統合失調症です。

まあ、児童虐待家庭だったかな。農家には多いんだよな。「怠けていたから懲罰で入院させたー」だって。

田舎の家庭は暴力で満ちています。親のほとんどは農民です。みんなぎりぎりの生活をしています。朝から晩まで働いて疲れ切っていますし、どうしてもお酒が入りますし、怒るときは口より先に手が出ます。

(『海辺のカフカ村上春樹、新潮社、2002)

 

 

 ほんとねー、精神科医が「入院が必要です」とか言っても普通、強制入院の権限を持つ保護権者の親が渋るけどねー。

 ちなみに結婚したら配偶者が保護権者になるんだけど。

 祖父が早世したような事もあって親が生命保険に興味があって、僕が21歳の時から30年満期の生命保険かけてたんだけど、保険金儲かるからというので、ぽいぽい入院させようとするの。まあ確かに、うちにいたら赤字だけどな。

 まあ、金ないからかえって生命保険かけてたようなもんだがな。医療費多額にかかったら、経済的に家庭が崩壊するもんね。

 それで一昨年満期になったんだけど、結局600万円かけて800万円になったらしい。

 こっちはメーカーに復職できなくて、生涯賃金2億円、完全にパーになったんですけど?

 ほんと、安い命だよねー。

 俺が小学生の頃とか、泣いている子供を「泣くなー!」とか怒鳴ってぶん殴ってるような父親だったな。

 それで20代で入院した後聞いたんだけど「怠けていたから懲罰で入院させたー」とか言ってるの。肉体労働と同じノリで頭脳労働できるわけないじゃん。

 まあ、親父:中卒の農民、俺:東北大卒の研究者、だったな。

 自動車学校退学になって休職になったくらいの話だったんだがなー。精神科なんか入院したら、信用度ゼロくらいになっちゃうよね。

 医者も何考えたら、自傷他害の恐れもなく、幻覚も妄想もない医師並みの成績の人物を閉鎖病棟に強制入院とかさせるかなあ? ちょっと信じがたいがな。親が喜んで入院させようとするから、家でよっぽど迷惑なんだとか勘違いしたのかな。

 なんか農家出身で見栄えが悪いから、「馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿、また馬鹿か」みたいないい加減な診立てしたんだろうね。病院、馬鹿とかいっぱい入院してるよ。だいたい「ブンレツビョー」ってことになってたから。幻覚なし、妄想なし、思考障害なしで、ただ品性下劣なだけの「ブンレツビョー」患者。俺の方がまだ思考障害あったから、本当のスキゾフレニアっぽいよね。

 2分の診察で入院させられて、生涯賃金2億円パーだよ。信じがたいよね。

 親父が診察についてきたと思ったら、「やー、どうせこいつなんか、えっへっへー」とかへらへら言ってるしな。

 恐ろしい無知蒙昧の田舎ですねー。

 なんかなー、眠れればいいかなー、と思って病院に通ってたんだがなー。若いころは寝つけにくくて朝起きにくいという統合失調症パターンの睡眠だったんだがなー。50代くらいは横になったらこてーんと眠っちゃって早起きし過ぎるという鬱病パターンの睡眠になってるなー。それで、3時とか4時とかに起きると育ちが悪いので酒飲んでて外出できなくなっちゃうという。もう100m先のAコープにしか行かんな。38歳でやっと軽自動車も買えたんだがなー。

 最近とみに行動半径狭くなってるなー。

 ほんとに鬱病になってるかもなー。元は「内気な田舎者の不適応」くらいの話だったのかもなー? まあ、「診断基準上の統合失調症(⇔生物学的な統合失調症)」くらいかなー、とは思ってんだけど。

 婚期も20年くらい遅れちゃって、元気なんか出るわけないよなー。

 クララちゃんと結婚してあげたかったなー。

 若くて恋だけで付き合ってくれてよかったよね。

 プロポーズ、断られなかったんだよな。彼女、固まっちゃって返事できなくなっちゃったの。自信があったら押し切ったんだけどなー。

 

 

(以下、『落日』犬儒、本格派「当事者」雑誌、2011より)


「一生付き合いたいというか、君の生活がゆとりのある生き甲斐のあるものにできるはずだと思うのだけど」
 槇子の瞳孔が僕の目線を捉えて動かなくなってきた。
「結婚してほしいんだ」
 槇子はうつむいてそれを拒絶はしなかった。心なしか瞬きしなくなったように感じられたが、茫漠と僕の瞳を捉えて固まってしまったように思われた。僕は言葉をなくした。何を言えばいいんだろう。
 槇子は正座していたが、膝を崩すわけでもなく、考え込むというよりは僕の目のさらに遠くの何かを見つめるような茫漠とした目線だった。僕は何か、美しいものを壊したくないような気持になり言葉を発することができなかった。
 彼女の憔悴したようでもある表情とまなざしは僕の心に陶酔をもたらした。何か言うべきなようにも思われたが、それよりなにかを待つべきのようにも思われた。
 どれくらい時間が経ったのだろう、僕も目線をそらさなかった。ゆうに二十分くらいの時は過ぎたように思われた。
 僕は手を差し伸べた。槇子が手を取ってくれたので抱き寄せて背中を二、三回叩いて勇気付けた。
 彼女はまだ何も言えない状態が続いていた。鏡台に向かって髪を梳かしはじめたので、少し心残りだったがその日はそれで僕は帰ることにした。

(以上転載)

f:id:kennju:20150912032516j:plain

 

↓35位。くそ田舎の出身で「市街地行くの例外的」「ファッション、何それ?」で南関東の上場企業で研究職なんてできるわけないよねー。しかも聴覚障害者の家系。やだー。

にほんブログ村 メンタルヘルスブログ 統合失調症へ