犬儒のブログ

当事者のアマチュア文芸雑誌の編集顧問を務めています。『ノルウェイの森』の直子と同病の単純型統合失調症です。

作業所の製品のリサイクル石鹸の宣伝をさせてください。今日はちょっと書くこと思いつかないですね。

○○○○石鹸詳細説明HP版(第三稿) by 犬儒

 


1.なぜ今、「リサイクル石鹸」か

 

日本の近代化と環境
 当○○○○作業所の製品の「○○○○石鹸」は、廃食用油製のリサイクル石鹸に位置づけられます。

 日本は急速に工業が発展し、消費生活も変化してきました。あるいは農業・林業や開発の影響が動植物の生態系を変化させてきました。かつて多くの公害問題が発生しましたが、根源的な人間の利便を求める生産・消費活動が、私たちを生かす自然環境との大きな不調和を示しつつあり、今日、環境問題の重要性が叫ばれています。
 例えば安価な農産品を求める動きは化学肥料や農薬の使用につながりますが、基本的には私たちの身体にとっては農薬は異物であることと同時に、山野や河川の生態系にとって歓迎される存在とは無論いえません。こういったことに私たちは複雑な感情を抱かざるを得ません。
 私たちは、私たちを生かしてくれる自然環境を真剣に振り返るべき時期に達していると思います。

 

石鹸の歴史
 1960年代頃、従来の「洗濯石鹸」を石油原料の安価な合成洗剤が駆逐しました。
 1980年代頃から、「琵琶湖条例」などを端に、合成洗剤ではなく、古来からある「世界最初の界面活性剤」こと、脂肪酸ナトリウム、すなわち石鹸の再評価の動きが高まりました。
 石鹸は、一世紀のガリア地方(現フランス)の記録に、「獣脂と灰から作られた」と残っている程度、人類に馴染み深いものであり、三千年にも及ぶ歴史があるとも言われています。
 産業革命以降の近代の歴史が始まる以前、石鹸は人類にある程度広く使用され、環境が破壊され自然が人類に報復するといったこともほとんどありませんでした。

 現代では原料に植物の灰に含まれる炭酸カリウムではなくて、食塩から精製された水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)を用います。動物性油脂、植物性油脂に、水酸化ナトリウムを反応させますと、「鹸化」といわれます反応が起こり、脂肪が脂肪酸とグリセリンに分解され、脂肪酸とナトリウムの塩が石鹸ということになります。
 脂肪酸は油等に親和性のある部分と水に親和性のある部分(カルボキシル基、-COOH)がありますので、石鹸水溶液中では「水と油」の関係を脂肪酸が取り持つということになり、例えば衣服の汚れを水と混ぜやすくするといったこと(乳化作用)により洗浄作用が生じます。ナトリウム塩であることは、石鹸が水中で溶けやすいという効果を与えます。また分散作用も石鹸の大きな特徴です。汚れの粒子に脂肪酸イオンが吸着し、ミセルを形成しますが、表面がマイナスに帯電しミセル同士が反発しあうためです。
 すすぎ時、あるいは薄められた排水で脂肪酸イオンはまず水中のカルシウムやマグネシウムと結合し水に不溶の細かな固体粒子になります。ある程度集まると「石鹸かす」になります。その後、これは動物プランクトン等の栄養として分解され、一昼夜もすればほとんど自然に無害なものとなるといわれています。

 

合成洗剤の普及と矛盾
 近年のような技術が進む前、石鹸の品質は必ずしも高いものではありませんでした。
 日本におきましていわゆる「三種の神器」といわれます家電製品のうちの電気洗濯機がある程度普及したのが昭和35年(1960年)頃以降でしたが、当時の粉石鹸は、冷水にサッと溶けにくいとか、難点がありました。あるいは洗濯槽に「カス」が残るといったことがあり、合成洗剤はある程度古くから研究されていたのですが、この電気洗濯機が洗濯桶などを駆逐する時代の流れに乗り、合成洗剤は石鹸に取って代わり時代の主流となりました。
 また、台所でも、合成洗剤は野菜の農薬や寄生虫卵を洗い取るといった、やや錯誤した触れ込みもあり、普及しました。学校給食などでは合成洗剤による野菜の洗浄などが義務となっていました。
 合成洗剤は強酸のナトリウム塩などのため、石鹸より電離しやすく、水に大きな親和性があります。そのためすすぎ時の泡切れが良いですとか使用感が良いですが、肌荒れですとか排水以降の懸念がぬぐえないのですが、使われ始めた当初はさほど問題視されていませんでした。
 合成洗剤は、石油から安価に生産でき洗浄力の高いABS(アルキルベンゼンスルフォン酸塩)などが主流でしたが、河川などでの「あわ公害」を招き、昭和43年(1968年)頃、LAS(直鎖アルキルベンゼンスルフォン酸塩)が主流に切り替えられました。このLASは、現在でも洗剤の表示を見ますと、代表的な界面活性剤として、35年間以上使用されていることになります。
 ただ、こういったLASの使用などは、マスプロダクトの近代化が、環境のことや、あるいは人体への害のことも考えなかった時代の名残ともいえるのではないでしょうか。合成洗剤の安全性は必ずしも確実ではありません。私たちは利便と引き換えになにかを犠牲にしてきたといったことはないでしょうか。実のところ、ベンゼン環やスルホ基(-SO3H)のあるLASの下水や河川での微生物による生分解性は85%程度に過ぎないとのデータもあります。
 そんな安全性の確認されていないものが普及しているわけはないと思われるのもごもっともかと思うのですが、例えば農薬の使用が人類にとって矛盾を含んだ状況であるということなどもお考えいただければ推察いただけるかと思います。
 私たちは石鹸に代えて、新たに複雑に化学合成された界面活性剤を選んでいたわけですが、1980年台頃からの一槽式の全自動洗濯機の普及や、石鹸製造の技術の進歩は、再び時代の切り替わりの時であることを示しているかもしれません。例えば全自動洗濯機は洗濯槽に残る「カス」の問題をかなりクリアしました。
 合成洗剤はドイツなどで開発されたのですが、日本の水質はヨーロッパなどの「硬水」とは違い、「軟水」であり、合成洗剤ではなく石鹸でもかなり充分な洗浄効果が発揮されます。硬水は石鹸を電離しにくくするタイプのカルシウムやマグネシウムなどの陽イオンを多く含んだ水質です。
 近年の大企業の合成洗剤は、各種の付加価値を訴えていますが、それが本当に消費者にとって必要なものかと考えた場合、大企業が「誰にも止められない破滅に向かう巨大な自動機械」のようなシステムと化して暴走しているのではないか、そんな懐疑を抱かざるを得ません。
 ただ私たちはただ単に後戻りするわけにもいかないこともわかっています。たいへん難しい時代だと思います。

 

リサイクル石鹸の登場
 1980年代に石鹸が再評価された頃、原料に最適と考えられたのがてんぷら油などの廃油でした。これに関しては、リサイクル石鹸製造を採算化しております企業が全国にある程度見られます。
 ごま油等てんぷら油は半乾性油であり、基本的には必ずしも良質の石鹸製造には向かないのですが、廃食油を素晴らしい資源として捉えることができ、持続可能な生活環境を考える場合、非常にポジティブに価値観を置けるエコロジー運動の一分野です。
 てんぷら油廃油は処理に困るものですが、充分使える資源でもあり、石鹸に加工することは最悪のケースで下水に廃棄するようなことに比して一石二鳥の意味があります。
 当作業所でも、地域の廃食用油の回収や石鹸の製造・販売を行い、価値のあるものとして皆さまにリサイクル石鹸をお届けしようと努力しておりますが、暫時技術力の向上に努め、営利企業としての責任は担えないものの、社会福祉法人として公の補助、あるいは皆さまからの御寄付などのご支援を仰ぎつつも、例えば「充分な洗浄力」といったハードルを充分クリアする製品を極力安価に提供させていただいていると自負しております。あとは皆さまが当作業所の「○○○○石鹸」に出会ってくださって、使ってくださることだと考えております。

 

2.製品概要

 

見直すべき石鹸の長所
 ABSのあわ公害が過ぎた後も、LAS等、合成洗剤の安全性などについては議論が分かれてきました。
 動物プランクトンによる分解についても、環境に配慮しなければならない時代としては、規制はされないもののやや不十分です。
 また合成洗剤の全般的な問題として、硬水の中でも洗浄能力があるということは、両刃の剣であるということでもあり、生分解されるまで排水中や処理場などでずっと界面活性剤であるということであり、生物などへの影響が懸念されます。
 一方、石鹸ですが、カルシウムやマグネシウムと反応して水に不溶の石鹸かす、あるいは微粒子の固形物になるわけですが、これは見直してみると大きな長所でもあるわけです。すなわち、洗濯でしたらすすぎ時にはもうこういった反応で生物にとって無害なものになっているということです。また動物プランクトンによる分解も早いです。
 水に溶けにくいということと、石鹸かすが生じるということは同じ、成分の脂肪酸が弱酸であることによります。ですので水に溶けにくいことも長所の一部とも表現できるかもしれません。洗濯に使う洗剤の量をすすぎ時間から考えるとするならば、石鹸は必要なすすぎ時間が合成洗剤と同じ分量では短くなると考えられます。ですので、実はいつまでも真のすすぎ終わりにならない合成洗剤に比して、やや多量の分量を洗濯に使え、その量で比べると石鹸は合成洗剤より洗浄力があります。これに関してはかつて公的機関でもそういった実験結果が得られていました。

 

製品概要
 当方が「自己責任」などといいますとたいへん申し訳ないのですが、「○○○○石鹸」の用途や限界などに関しては、皆さまがご判断くださればと願います。石鹸をLAS等と比較しますと、例えば作業服の油汚れに対する洗浄力など足りないかもしれません。ですが、先に述べましたように軟水中では合成洗剤が開発された国以上に石鹸で充分な洗浄力があるのではないか。このあたり、皆さまの用途に応じて洗剤を選んでくださればと思います。
 環境問題と申しますと漠然としておりますが、貴重なてんぷら油廃油資源をかなり役立つものに加工していることに関しては私どもは誇りを持っております。
 当作業所は、地域に根ざしつつ活動しておりますが、お客様に「○○○○石鹸」というもう一つの選択肢のことを考えていただきたく思っております。「昔ながら」のような存在であろうかとも思うのですが、輝きもあろうかと考えております。

 

袋入り粉石けん
 当方で一番ニーズが高い製品と判断しておりますものは、2kg入りの袋などで販売させていただいております粉石けんです。
 おおよそ、一般の合成洗剤の二倍量(30リッターに対し、40g)の重量が必要なことはご承知おきください。
 直接的な性能を考えると、実は石鹸は合成洗剤に比べて必ずしも家計を助けてはくれないかもしれません。環境問題の他、「リサイクルにはお金がかかる」ことがあるということも皆さま考えてくださっていると思いますが、実のところ廃食油原料でも石油原料の合成洗濯洗剤の二倍程度の価格になってしまっているのが現状です。
 環境に優しいという点ではまったく保証できます。性能の点では、合成洗剤に比して「ふわふわに洗いあがる」等、評価も得ています。無論、長所短所はありますが、安価な合成洗剤が石鹸を駆逐した過去の経緯なども踏まえて考えてくだされば、石鹸が性能的に旧式で時代遅れといったことばかりではないということ、ご理解いただけると思います。
 コスト削減のしにくい小規模な工場で各種のご支援を賜りながら運営しておりますが、総合的にコスト高になっても、やはり総合的に環境や社会のことを考えるならば、こういったエコロジー運動もやらなければならないということを大きな意味でご理解いただければと願っております。おかげさまで、現状で民間のリサイクル石鹸製造企業より三割以上程度安価な価格設定にさせていただくことが出来ております。

 

ボトル入り粉石けん
 粉石けんは、台所用などにも使いやすい円筒形プラスチック容器入りも販売させていただいております。
 洗濯の話が長くなりましたが、台所のことを考えますと、合成洗剤の市販品は泡立ちもよく、泡切れや「キュッキュ」といった感触も好ましいものですが、少量の食器で泡立つような洗剤濃度では「手袋を使用するように」といった注意書きが市販の洗剤に記述されていようかと思います。かつて琵琶湖の赤潮で問題になりましたリンはもう含まれておりませんが、無リンでも合成洗剤の人体や環境への害は、必ずしも無視できるものかどうか、議論が分かれております。これは大きく申せば「近代」というものが何かを犠牲にしてきたということの代償とも言えます。台所でも、汲み置き洗いのようなことでしたら、さほど合成洗剤と石鹸の使用感の差はないと考えます。
 皆さまあまりやっておられないかとも思いますが、合成洗剤で野菜の農薬などを洗い流すことは、「毒をもって毒を制す」かどうか、綱渡りでもあろうかと思います。こういった際は水洗いがベストという意見もあります。
 台所で石鹸を使用することは大きな「安心」でありましょう。

 

固形石鹸
 固形石鹸も販売させていただいております。例えば台所用としてスポンジにつけて少量の食器洗いに用いたり、ふきんなどの洗濯などにもお使いいただけますし、洗濯物の襟や袖口に使ったり、もちろん旧来ありました固形洗濯石鹸のように幅広くお使いいただけるかと思います。
 固形石鹸といいますと、特に若い方など、洗顔、入浴用といったイメージもお持ちかとも思うのですが、「○○○○石鹸」は原材料が廃食用油ということで、いわゆる「化粧石鹸」の品質には達しておりません。合成洗剤の普及前でしたら例えば魚油などをいわゆる「洗濯石鹸」の原料に用いていました。誤って○○○○石鹸で洗顔なさると「臭い」というのが第一印象かと思います。廃食油原料を高い技術で化粧石鹸に加工している会社などもありますが、化粧石鹸としては品質の低いものになってしまいますので、わきまえて住み分けるのも賢い道かとも判断しております。
 「臭い」ような物がはたして体に良いものなのだろうかという当然の疑問はおありかと思うのですが、先に述べましたように充分な洗浄力があり衛生的です。また例えば製造工程で副産物として出来るグリセリンをあえて除去しないという成分にしておりますので、手にやさしい品質になっております。
 固形石鹸は粉石鹸とやや製法が違い、低温でゆっくりした鹸化で熟成させています。粉石鹸には含まれる「助剤(ビルダー)」の炭酸ナトリウム(ソーダ灰)は加えない製法です。

 なお、原料の廃食油はてんぷら等調理中に酸化されて劣化しますが、触媒等用いて還元させる方法もありましょうが、当作業所では、一ヶ月間程度、乾燥や過剰のアルカリ成分を飛ばす意味も含め、粉石鹸、固形石鹸を空気に触れさせて還元させるというナチュラルな方法をとっております。こういった製造全般のことに関しては、中央の行政関係の指導者や長い経験を持つ石鹸製造の先生に助言をいただきながら鋭意、現状に甘んじず品質の向上のために日々研鑽しております。

 合成洗剤で手荒れする体質の方も「○○○○石鹸」ではほとんど荒れませんし、「合成洗剤ではなくて石鹸を」というご希望の際には、ぜひ「○○○○石鹸」を選んでくださいますよう、お願いいたします。


参考文献
1)『モリソンボイド有機化学』東京化学同人、1973
2) 万有百科大事典「化学」、小学館、1974
3)『視覚で捉えるフォトサイエンス化学図録』数研出版、2003
4)『ダイナミックワイド図説化学』東京書籍、2003
5)『北の国のリービッヒ』大原槇子、ふきのとう書房、2005

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↓29位。何考えたら一般就労の出口もないのに時給百円の作業所で働いてんの? 冬季の建築の職業訓練でも手当てあたるよ。俺でも測量助手やってたよ。軽自動車買えたよ?

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