今日は少女のことを思い出す少女の日なのです! 天使ちゃんー!
今日は少女のことを思い出す少女の日なのです!
危なかったよねー。クララちゃんいなかったら恋人ゼロ人だったもんねー。
文学どころじゃなかったよねー。
最高の天使ちゃんの恋人出来てよかったよねー。
クララちゃん、観察室から出てきてもスローモーにしか動けなくってなー。
僕にマジ恋しちゃって見つめあってあげたら、だんだん動けるようになっていったの。
退院した後、「来て」とか電話きて、超わがままなのに付き合ってあげてたら、二人えっちしてくれるようになって嬉しかったなー。
女の子って、恋すると愛されたいとか思っちゃうみたいだね。
クララちゃん、あとで、私未成年だったから犯罪よ、とか、お小遣い欲しい、とか、滅茶苦茶な事言ってたっけなー。
未成年者と交際するのは、援助交際でなければ犯罪ではありません!
いつもジーンズですっぴんで可哀想だったなー。モーテル代節約してお小遣いあげたほうが良かったかなあ。
年収60万円だったもんなー。
恋人に現金渡すの抵抗あったけど、結婚したらどうせ会計一緒だしなー。
学歴高過ぎて市内では仕事なかったしなー。ほんとやんなっちゃうよねー。
彼女が23歳の時、プロポーズ断られなかったしなー。自信があったら押し切ったんだけどなー。
女の子って優柔不断で自分の一生のことも決められないみたい。男が決めてあげて責任取るんだよなー。俺のこと、大好きだったみたいだなー。
もっともっと、いっぱい愛しあいたかったなー。
(『落日』犬儒、本格派「当事者」雑誌、2011、より)
「一生付き合いたいというか、君の生活がゆとりのある生き甲斐のあるものにできるはずだと思うのだけど」
槇子の瞳孔が僕の目線を捉えて動かなくなってきた。
「結婚してほしいんだ」
槇子はうつむいてそれを拒絶はしなかった。心なしか瞬きしなくなったように感じられたが、茫漠と僕の瞳を捉えて固まってしまったように思われた。僕は言葉をなくした。何を言えばいいんだろう。
槇子は正座していたが、膝を崩すわけでもなく、考え込むというよりは僕の目のさらに遠くの何かを見つめるような茫漠とした目線だった。僕は何か、美しいものを壊したくないような気持になり言葉を発することができなかった。
彼女の憔悴したようでもある表情とまなざしは僕の心に陶酔をもたらした。何か言うべきなようにも思われたが、それよりなにかを待つべきのようにも思われた。
どれくらい時間が経ったのだろう、僕も目線をそらさなかった。ゆうに二十分くらいの時は過ぎたように思われた。
僕は手を差し伸べた。槇子が手を取ってくれたので抱き寄せて背中を二、三回叩いて勇気付けた。
彼女はまだ何も言えない状態が続いていた。鏡台に向かって髪を梳かしはじめたので、少し心残りだったがその日はそれで僕は帰ることにした。
↓28位です。『ノルウェイの森』とかなり違う感じとしかいいようがないよねー。